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私にとって、〝情報の宝庫〟という存在です。
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vol. 10 2020 Mar. 17th

角田光代さん (作家)

2 0 2 0年3月3日、おかげさまでa n a nは創刊5 0年目を迎えました。それを記念して、ご縁のある方々にインタビュー。印象に残っている表紙や誌面など、思い出話を伺います。

アンアンからの仕事依頼は、すごく嬉しかったですね。 角田光代(作家)

本誌の特集ページや連載で、寄稿やインタビュー、対談など数えきれないほどご協力いただいている作家の角田光代さん。
初期の登場で印象深いのは2001年のカルチャーページ。刊行したばかりの旅エッセイ集『恋愛旅人』のインタビューだ。
「自分が読者だった頃はずっと、アンアンといえばお洒落でとんがっている雑誌とい うイメージがあって。だから、スカした感じの編集者たちが作っているというイメージがありました(笑)。でも、実際に会ってみると、すごく真面目で熱心な人たちが作っていると分かって。取材をきっかけに親しくなった編集者も多くて、楽しかったですね」
その後、読者からの悩みに回答する〈Mailbox〉ページのレギュラーアドバイザーを担当したほか、恋愛エッセイの寄稿や有名人との対談も多く、また、誌面で手相を占ってもらったことも。執筆生活に密着させてもらったり、旅先で買った小物やプライベート写真など私物を公開してくれたりと、いつでも快く協力してくれた。
「それらがちょうど、パンクしない限り仕事は断らないと決めていちばん忙しい頃だったと思う。でもアンアンからの依頼はすごく嬉しかったですね。時代の真ん中にある雑誌に出ることはすごく光栄だったし、関わることでなんだか自分もキラキラした人になれたような錯覚を抱いていました(笑)。ただ、読者よりもずいぶん年上の自分が恋愛相談にのってもいいのかな、と申し訳ない気持ちはありましたけれど…。振り返ってみると、当時は今に比べて恋愛の特集が多かったですよね。アンアンの特集テーマを辿っていくと、時代の流れみたいなものが見えてきますね」
また、2007年からは4名が交代で新作映画を紹介する連載、〈Movies〉のレギュラーメンバーをつとめたことはいい経験になったそう。
「『スラムドッグ$ミリオネア』や『路上のソリスト』など、この連載がきっかけで、気に入った映画がたくさんありました。ただ、『タクシデルミア』というグロテスクな映画を取り上げたことがあって…。後からアンアンにふさわしくない作品を選んでしまった、と後悔したのをよく覚えています(笑)」
現在、日頃の情報収集は新聞やネットを利用することが多いが、今でもアンアンを手に取るとワクワクする、という角田さん。
「こんなに情報があるんだ、と嬉しくなりますよね。服や料理を眺めるのも楽しいし、本の紹介や映画評などは気になる作品があったらメモしておきます。それに、〈Who’sHot?〉みたいな人物インタビューって、全然知らない人が出ていても読み物としてすごく面白い。私にとって、〝情報の宝庫〟という存在です」

思い出のanan

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印象深い誌面登場は、エッセイ集のインタビュー。

「33~34歳の頃ですね。当時はまだインタビューで喋るのが下手で、自分が満足のいくように記事をまとめてもらえないことが多くて。でも、この記事はすごく良かったんです。嬉しかったです」(2001年6月8日号)

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連載ページを受け持つことも。こんな映画も紹介しました。

連載で『タクシデルミア ある剥製師の遺言』というハンガリー映画を紹介。「死体がごろごろ出てくる映画なので、知人に『ananであの映画を紹介するなんて!』と驚かれ、後悔しました(笑)」(2008年1月16日号)


かくた・みつよ 1967年生まれ。2005年の『対岸の彼女』での直木賞ほか、受賞多数。数年かけて現代語訳に挑んだ『源氏物語』(上中下巻 河出書房新社)がついに完結。

写真・小笠原真紀 動画・黒川ひろみ 動画編集・山城健朗 取材、文・瀧井朝世