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アンアンにはすごく鍛えられました(笑)。
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vol. 7 2020 Feb. 18th

飯田淳さん (イラストレーター)

2 0 2 0 年、おかげさまでa n a nは創刊5 0 年目を迎えました。 それを記念して、ご縁のある方々にインタビュー。 印象に残っている表紙や誌面など、思い出話を伺います。 今回は、占い特集の表紙イラストを多数手がけた、飯田淳さんに話を聞きました。

読者が憧れる世界観をイメージしながら書いていました。 飯田淳(イラストレーター)

アンアンの鉄板企画、一冊すべて占い特集。始まったのは1980年代後半のこと。
「当時の編集長の淀川(美代子)さんから、『一冊丸ごと占いの特集を作るから、表紙と中ページのイラストを全部描いてほしい』と依頼され、まさに大抜擢していただいたんです」
今も昔も、女性誌に欠かせない占いのページ。でも〝一冊丸ごと〞とは、当時類を見ない企画で、その全体を構成するイラストとは、まさに大作である。
「淀川さんが表紙には天使を描いてほしいと。中の12星座は、単に星座モチーフだけでなく、アンアンらしくファッション小物やインテリア、髪型などを絡め、女性の周りにあるものを星座化する切り口を考えて描きました」
その後、占い特集の表紙は飯田さんのほぼ独壇場。星座や血液型、手相などのイラストも手がけた。
「アンアンにはすごく鍛えられました(笑)。毎回技法を変え、画材も変えたりと、実験的なこともいろいろやらせていただきました」
占い以外にも、作家・村上龍さんの連載〝「普通の女の子」として存在したくないあなたへ。〞のイラスト、毎週トレンドのファッションやグッズが並ぶアンテナページの帯イラストなども手がけていた。
「描くのに苦労した記憶といえば、やはりセックス特集でしょうか。あまりストレートに表現してはリアリティがありすぎると、リノリウム版を彫って版画で体位やテクニックを描いたこともあります」
アンアンの仕事は悩ましくもあり、忙しくもあり、だけど楽しくて仕方なかったと話す飯田さん。
「いつも心がけていたのは、読者層より少し上の世代の女性だったり、読者が憧れる世界観をイメージして描くことでした。あの頃はバスキアやキース・へリングがいて、ファインアートとコマーシャルアートが近くなった時代。僕もファインアートのいいとこ取りをしてイラストに落とし込もうとする部分もありました」
そしてアンアンでイラストを描くようになったことで、自分自身の仕事にも広がりがあった。
「大学の大先輩、原田治さんもアンアン出身。だから僕が描くようになったことをとても喜んでくれました。そしてご自身が設立したイラスト学校『パレットクラブスクール』の講師を依頼されたんです。そのとき初めて自分がイラストレーターとして認められたんだ、という気持ちになりました」

思い出のanan

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帽子で顔を隠した裸の男女に漂うエロティシズム。

帽子で顔を隠しながらも、色とフォルムで男女を象徴的に描き“他人のセックス”というタイトルとリンクさせた飯田さんらしいイラスト。1980年代に女性誌がセックスを取り上げることも衝撃だった。(1988年4月1日号)

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表紙と中ページの特集イラストすべてを手がけた号。

表紙と中ページの特集イラストすべてを手がけた号。優しいピンクの中に漂う4人の天使のイラストは、ちょっぴりスピリチュアルな雰囲気と、恋愛や運命という未来への導きを感じさせるものだった。(1990年12月14日号)

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血液型4つのアルファベットを、毎回違う手法で描く苦労。

「占いだからと、クラシックなドロドロしたイラストにはしたくなくて、それが当時の編集長だった淀川さんに気に入っていただいたようです」(飯田さん)。アルファベットの中に女性の横顔が印象的。(2006年8月16日号)

いいだ・じゅん 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。広告、エディトリアルをはじめ幅広いジャンルで、イラストレーション、ロゴデザインなどで活躍。繊研新聞広告大賞受賞など。

写真・山城健朗 取材、文・今井 恵